金融仲介機能を支障なく果たすためには、リスク管理が非常に重要な要素になったのである。
金利自由化が銀行経営に与えた影響をもう一度振り返ってみよう。
国によって金利が自由化された時期もその手法も異なっているが、日本がお手本にしたのはやはり米国のやり方である。
米国が80年金融制度改革法で6年間かけての段階的金利自由化を定めたように、日本では84年の日米円ドル委員会報告書を受けて、将来に向けての段階的な金利自由化スケジュールが示され、大口定期預金から順に自由化が進められた。
混乱を生じないための過渡的措置であったが、結果的には運用・調達が二元的になり、金融機関は一時的に総合的な判断を見失うような状況にはまりこんだのである。
錯覚に陥った銀行80年代後半は規制金利と自由金利の併存時代であり、銀行の預金金利は二重構造となった。
一方貸出金利も公定歩合連動の(旧)短期プライムレートと、債券利回り連動の長期プライムレートの二本立てとなっており、運用と調達の組合せは一筋縄ではいかなくなってしまった。
当時とられた戦略は、自由金利調達の増加によるコストアップを、長期貸出あるいはリテール貸出の強化による運用収入の拡大(長プラベースの貸出)で吸収するというものであった。
そしてその戦略は折からの景気拡大にのって一時は成功するかにみえたが、結果的には大失敗であった。
では銀行がとった戦略のどこが間違っていたのだろうか。
理由としては、まず債券など長期の調達手段がないのに長期プライムレート・ベースの貸出を増やしたことがある。
当初はそれでもよかったが89年から長短金利の逆転が起こり、逆ザヤが発生してしまった。
もう一つは新たに取り組んだ貸出の相当部分が不動産関連に集中したことである。
当然、貸出を実行した時点では担保は確保していたし、長期金利を適用すれば採算的にも問題はないと思われた。
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